■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
書評・新自治体学入門
(カテゴリー: 新刊案内
木村修さん (映像プロダクション・マブイシネコープ) が「新自治体学入門」の紹介文を書いて下さったので転記する。

  森啓著『新自治体学入門―市民力と職員力』時事通信社

 著者森啓さんは、冒頭こう切り出している。「本書は『自治体学』の概念を『国家学』との対比で定義し、自治体理論の基礎概念を吟味して『市民自治』の意味を確定した」と。
多くの読者が、私同様、『自治体学』という概念に本書で初めて出会うことだろう。それもそのはず、今日全国幾百の大学で「専門科目として開講しているのは北海学園大学法学部のみ」であるとも付言されている。
 ところで、前記の「『市民自治』の意味を確定する云々」とは、一体いかなる実践的要請にもとづき何を求めての論及なのか。しかし、運動の現場から地方議会と自治体行政のありように向かい合って本書を開けば、読者に大きな視界と、運動の深い基礎となる理論的正当性を与えてくれる。
 以下、私の経験の一端から本書の相貌を紹介する。
 1998年11月18日、神戸市議会は「神戸空港の建設の是非を問う住民投票条例案」(この直接請求署名は市長の得票数を大きく上回り、有権者の3分の1をも越えていた)を”悠々”と賛成少数で否決した。
 主権者市民の直接的主権行使を儀式化された”討論”で否決・圧殺して、その責任が問われることのないこの国の「民主主義」システムは怒りを通り越して不思議でさえあった。こうした主権者市民の決定過程への参加を徹底して忌避・嫌悪しながら「議会制民主主義」とされている現行システムを私たちはどのように意識したらいいのだろうか。
 にもかかわらず、90年代から直接請求運動は国会・政党・大労働組合から自立して全国津々浦々に広がり、04年の大阪市以来26自治体に連続する無防備地域宣言運動もこの新しい波を一段と高くしている。
 ところで、こうした市民の自立した運動の足跡はどのような歴史的意味と必然的根拠を持っているのか。しかもその多くの場合、発言する市民各層が「議会による否決」の壁を重々承知しつつその彼方に視界を広げて立ち上がっているとすれば、この歴史的社会的意味の理論化は間違いなく日本の民主主義の将来を拓く課題である。
 本書の意義は、こうして意識化されないままに来た主権者の直接的主権行使と、国家から自立した自治体の根本的性格の領域を「自治体学」と冠して私たちの批判的・発展的考察の対象にし、そこから「人権・主権・自治」の領域を自立的に考察検証する回転軸を与えてくれているところにある。
 今、日本の市民運動・住民運動は政党や大労働組合の思考停滞のはるか前方を自力で進んでいる。
本書は「自治体学の概念」(第1章)、に始まり、「代表民主制と住民投票」(第6章)に私たちを誘う。「あとがき」には、「自治体学理論は民主主義を実質化し定着させる理論である」との結語が光る。どのページからでも、読者が思うページをまず開いてみることをお勧めする。
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