■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
北海道・自治土曜講座
(カテゴリー: 自治体学理論
北海道・地方自治土曜講座
●学習熱の高まり
 北海道にも過疎と高齢化が急速に進行している。
 北海道の基幹産業である農・林・水産は産業構造の急激な変化で活力を失い、借金が嵩んでの離農、後継者がいないので廃業する林・漁業が増えている。町や村に深刻な先行き不安が広がっている。何とかしなくてはならぬ。安心して暮らせて、働く場があって活力があり、美しくて魅力があり、働くだけでなく楽しいまち、にしなくてはならない。どうすればよいのか。まちづくりの事務局である役場職員が考えて町の人々に呼びかけねばならない。成り行き任せで傍観しているわけにはいかない。
 それには、役場職員が勉強しなければならぬ。
 95年4月、北海道町村会が言い出し事務局となり自治講座実行委員会がつくられた。 当初、町村職員が講座に出て勉強するであろうかとの危惧はあった。
 定員百名で受講者を募集した。あっという間に二百五十人の受講申込みがあり、急遽、大きな教室に変更したが三百五十人で締め切った。二年目は五百人の会場を用意した。八百七十四人の申込みがあり、止むを得ず二会場に分け、講師は同じ講義を二回することになった。二年目から、道北上川、十勝帯広、道東釧路、道南檜山、愛別町でも、地域の自治体職員の企画で土曜講座が始まった。三年目の97年は定員を四百名にした。だが、熱烈な受講希望を断れず四百五十人を受け付けた。かくて、北海道の各地で、毎月、二千人の自治体職員、市町村議員、首長、市民が「国家統治の官庁理論」から「市民自治の自治体理論」への理論の組み替えを学んでいる。それは、衰退する過疎のまちを如何にして蘇らせるかの方策を考えるためである。住んでいることを誇りに思えるわがまちをつくるためである。
 稚内、根室、檜山などの遠隔からの受講者は、金曜日に仕事が終わって出発し、札幌に深夜に着き泊まり翌朝講座に出て夕方帰途に着く、を繰り返している。礼文島の町役場職員は船で稚内に渡り列車で札幌に早朝着いて受講して翌朝礼文島に帰っている。
 五月から十月まで、月一回の土曜講座、参加費一万円、何時も満席、毎回の講義はブックレット形式で北海道町村会から刊行されている。

●地方公務員から自治体職員へ
 この学習熱の高まりは何であろうか。
 時代の転換期には学習熱が高まると言われる。産業の衰退、過疎の進行、老齢社会への危機感が北海道の各地に広がっているからであろう。いや、危機感だけではないであろう。役場職員が自分の仕事に可能性を予感し始めたからであろう。自分の仕事が意味のあることだと気づき、自分自身に誇りを持つことが出来ることを実感し始めたから講座の熱気が高まるのであろう。     
 これまでは、タテワリ省庁の補助金と通達に不合理と屈辱を感じても、従属することを余儀なくされていた。省庁政策の末端の地方の公務員であった。その自分が、都市型社会が成熟して公共課題が量的基盤整備から質的まちづくりに移行したため、重要な役割を担っている市民自治の事務局職員であることに気づいた。
 質的まちづくりは自治体でなければ実現できない。成熟社会の質的政策課題は「総合的手法」と「協働の仕組み」が不可欠である。土曜講座に参加して講義のあと受講者と語り合っているうちに、仲間も増え時代の変化も見えて自信を感じ、自分は故郷をつくる全日制の公共事務局職員であるのだと思い始めるのであろう。だから、講座の参加者も年々増えている。講義を聴き仲間と知り合い先進地域と交流し自分の仕事の質を高めることによって「地方公務員」から「自治体職員」に自身を変革しているのである。
 政策能力の違いがまちづくりの格差になって出る時代である。
 地方分権が時代の潮流になり役場職員の政策能力が重要になってきたのである。
 受講者は、講師として登壇した東京多摩地域の市職員から「事業別予算のつくり方」「政策原価の計算手法」「政策法務の理論と実際例」などの話を聴き、自分と同じ自治体職員がここまで考え実践しているのかと驚き、宿泊サマーセミナーでは徹夜で語り合い、時代の転換と自身の役割を実感している。
 かくて、土曜講座の参加者によって北海道の各地に政策研究会や学習会が始まっている。そのうごきを奨励する首長も増えている。良い意味での刺激と競争が百七十八の町村役場に始まっている。全職員がパソコンで仕事をして役場情報を町民と議員と役場職員が共有することを目指している町もある。
 北海道の学習熱の高まりは土曜講座だけではない。
 土曜講座の開始と同じ95年に設立された北海道自治体学会の役割も大である。
 自治体学会は市民と自治体職員と学者・研究者が実践体験を交流して市民自治の理論を研鑽する場である。毎年二回、北海道の各地を持ち回りで「政策開発の研究総会」と「政策シンポジュウム」を開催している。そして、土曜講座を受講し自治体学会の会員になる市町村議員も年々増えている。「土建型議会」から「まちづくり型議会」に地域は確実に変わり始めている。
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