■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
講座・松下圭一「ロック『市民政府論』を読む」(第三回)  
(カテゴリー: 自治体学会の設立経緯
   講座・松下圭一「ロック『市民政府論』を読む」  
    第三回 (第六章・政治理論を現代へ)

(1節) 市民政治理論の構造転換         
 ロックの「市民社会」は、市民が(社会契約)で「社会」を形成し、基本権(固有券)を守るために「政府」をつくって権限を信託する『公共社会』である。 
1) その「市民社会」が、工業技術の発達進展によって「大衆社会」に変容する。さらに工業化・情報化が進展して「工業文明的生活様式」が (都市地域だけでなく農村・漁村・山村地域にも) 全般化して「都市型社会」に変容する。「都市型社会」は、農業人口が30%を切って成立、10%を切って成熟  
2) 大衆社会 
五千年来続いた農業社会(第一次産業社会)が、工業技術の発達によって、工業社会(第二次製造業)になり、情報技術の開発進展で情報産業社会(第三次産業)になる。これまで「個人」をつないでいた「共同体・身分」が崩壊し、社会を管理する官僚機
構が肥大して(大衆社会)となる。大衆社会(マス・ソサエテイ)の語は、マンハイムが造語して(現代社会の基本用語)になった。 
3) 大衆社会論争(1950年代)
大量生産・大量消費・大量情報の社会では「生活様式が平準化」し「生活意識も平準化」して、人々は賃金生活者になり官僚機構に管理され操作される対象(大衆)になる。つまり、体制外存在であった労働者階級は「生産の社会化・労働の商品化」によって(新
たに生じてきた新中間層を含めて)体制内存在としての「大衆」になる。

(2節) 19世紀ヨーロッパの思想状況
1) 「歴史」からの批判 
フランス革命の反動として展開された「反啓蒙の思想運動」が「ロックの(理性市民)は啓蒙哲学の理性である」と批判した。それは「後発型ドイツ」の国家理論(立憲君主制)であった。このドイツ理論を伊藤博文が日本に持ち帰り「天皇(官僚)統治の国家理論」として正統化して現在に至っている。
2)「階級」からの批判 
  市民社会内部に「階層分裂」→ ブルジョアジー対プロレタリアート
  ・ブルードン  ・ジョン・スチャート・ミル  
  ・カール・マルクス ― マルクスは「市民社会」主義者 
  何れもロック理論の枠内での論議であった
[論点]
マルクス理論の影響が (ドイツ・日本) (ロシア・中国)でなぜ強かったのか。 
・マルクスの予測 外れた  237頁
・マルクスは「革命」(窮乏化論―歴史の必然)
・ウエーバーは「官僚機構」

・「現代の問題」  (資本主義国も社会主義国も膨大な官僚機構を形成)  
   官僚機構が必要であるかぎり‥‥  238頁

(3節) 社会の平準化 政治の分節化   
1) 大衆社会(都市型社会)では、工業化―大量生産技術・大量伝達技術で、殆どの人々が賃金生活者になって官僚機構に管理操作される対象(大衆)になる。
2) 大衆社会では官僚機構がなければ生産から生活まで維持できない。 
都市型社会では「所得」だけでなく、「シビルミニマム」の公共整備が不可欠。 
シビルミニマムの整備とは「社会保障(福祉政策)・社会資本(都市政策)・社会保健(環境政策)」

[論点]
 なぜ「シビルミニマム」の公共整備が不可欠必要なのか
 都市型社会-前例なき公共課題が噴出する
 大気汚染 河川汚濁 温暖化 都市景観 緑地減少 都市砂漠  幸福追求権 生存権 現代的貧困
公共課題の三分類
政府三分化  
  国際社会で基準を約定して解決  世界政治機構     
  全国レベルでの解決       中央政府 
  地域ごとに解決         地方政府―自治体政府 
都市型社会の「新しい可能性」
・市民の成熟条件 (246頁)  教養と余暇の平準化 政治訓練の蓄積  
・分節政治理論 (247頁) 新たな可能性を追求するシクミ(自治・共和の制度)
・分節政治理論の課題 (250頁)    自治分権型政治体制の創出 241頁

(4節) ロック理論の今日的意義  251頁
1) 市民を(人間型)として定型化した=(提起して説明した)。
2) 社会(=市民)と政府を区別する二層論を提起した。
3) 政府理論を構成した
政府正統論―市民合意による政府の創出
政府機構論―政府は市民が基本権を守る権限を信託した機構(道具)
政府変動論―市民は政府が信託(契約)に反するときは交代させる(信託解除権の発動)  
[さっぽろ自由学校・遊」2016-8-3]
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