■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
2016・北海道自治体学土曜講座・第一回「沖縄問題」  
(カテゴリー: 北海道自治体学土曜講座
2016・北海道自治体学土曜講座
第一回「沖縄問題」  
日時 2016年5月7日
会場 北海学園大学3号館
主題 沖縄の人々の苦難は他人事でない
 宮本憲一 (大阪市立大学名誉教授)
 松元 剛 (琉球新報編集局次長兼報道本部長)
 徃住嘉文 (日本ジャーナリスト会議)  
 森 啓 (自治体学土曜講座実行委員)

問題提起   
Ⅰ沖縄の自治と軍事基地 宮本憲一 (大阪市立大学名誉教授)
Ⅱ安倍政権の非情な強権発動 松元 剛 (琉球新報編集局次長)

討 論
以下は当日の論点を基にした筆者の所見である。
民主主義社会を維持継続するには批判的思考力の切磋琢磨が不可欠である。

沖縄の人々の苦難は他人事でない 
日本の人々は「沖縄は気の毒だ」と他人事のように思っているのではあるまいか。
米軍施設の74%が沖縄本島に集中しているのである。深夜も轟く爆音で眠れず、人家周辺に軍用ヘリが墜落し、女性暴行事件が繰り返され、山林破壊が日常化しているのである。少女暴行の米兵は早々とアメリカ本国に帰っていったのである。
これは「治外法権」である。明治のときは、政府は「不平等条約撤廃」に全力を尽くした。だか「日米地位協定」は1960年以来一言一句改定されていない。
ドイツ・イタリアなみの地位協定に改める交渉申入れさえもしない。そして日本の人々はその政府を支持し加担しているのである。

沖縄の米軍基地
沖縄の米軍基地は日本を守るためか。アメリカの世界戦略のためではないのか。基地の米軍兵士は日本の人々を守ろうと思っているであろうか。司令官も兵士も日本を守るための基地だと思ってはいないであろう。
では何のための基地なのか。米軍にとっては、沖縄の米軍基地は「母国では望めないほど快適ですばらしい」のである(米政治学者C.ジョンソン)。 
沖縄に米軍基地が集中したのは、内灘闘争(1952)、砂川闘争(1955)など基地反対闘争が全国に伝播し始め、岸信介が急きょワシントンに出向き「基地反対が反米感情に発展する」とアイク(大統領)に伝えて「沖縄ならばよい」となったからである。

米軍基地は必要か
問題は、米軍が「それなら、基地を全て引き上げる」と言い出したら「コマルのか」である。「それは困る」と(直ちに)言い始めるのは誰であろうか。誰が言い始めるかの見定めが重要である。
困るのは「隣国との友好平和を望まず、安全保障環境の緊迫を声高に言説する人達である。国際緊張が薄れ友好親善になっては(実は)困る人達である。武器輸出の解禁を喜ぶ財界人も「適度の国際緊張」を望み、沖縄の基地存続は必要と言説する。
しかしながら、米軍基地を日本防衛のため必要だと漠然と考えてはなるまい。
クリントン政権で普天間飛行場返還の日米合意を主導したジョセフ・ナイ元国防次官補(現ハーバード大教授)は、朝日新聞掲載のインタビュー記事で、「沖縄の人々の支持が得られないなら、われわれはおそらく辺野古移設を再検討しなければならないだろう」(2014年12月8日付)と述べた。
 駐日米大使として米海兵隊員の少女暴行事件(1995年)に対応したモンデール氏(元副大統領)は、米国務省系の研究機関の外交研究・研修協会「退任後インタビュー」で、「沖縄の米軍駐留継続を日本側が求めていた」と証言した。
 
戦争は殺戮と破壊
戦争は殺戮と破壊である。「国を守る」「国民の生命を守る」は口実である。軍隊は国民を守らないのである。沖縄地上戦がそれを証した。戦争開始を命令する地位・立場に居る人達は、危うい処には(けっして)出ていかない。「元海軍軍令部400時間討論テープ」がそれを証している。
戦争には莫大利益を手にする人が常に居る。イラク侵攻でチェ副大統領の会社は莫大利益を得たと報道された。軍産複合体制は「戦争開始を画策する企業」をも造り出す。戦争開始の元凶は「莫大利益」である。
「戦争を始めるのは金持ち、戦争で死ぬのは貧乏人」とはサルトルの言である。
「沖縄の民意」を一顧だにせず、警視庁機動隊を常駐させ、暴力的に辺野古に本格基地を建設する日本政府に、沖縄の人々は怒りを募らせている。そして、沖縄の人々の苦悩を他人事に思う(ヤマト)の人々にも怒りの情が萌している。

経済的徴兵制
 給付型奨学金(返済しなくてよい奨学金)を(言を弄して)創らないのは「経済的徴兵制」を目論んでいるからであろう。
「経済協力開発機構(OECD)に加盟する34カ国のうち、給付型がないのは日本とアイスランドだけ。だがアイスランドは「大学授業料が無料」だから、日本だけである。日本の若者は300万円から500万円の借金を背負って卒業している。そして多くは「派遣労働」か「飲食業就職」だから、返済できない、結婚できない、結婚しても子供を育てられない。
若者を貧困にしておいての軍隊勧誘が「アメリカの志願兵制度」である。日本にも「奨学金返済免除」を目の前に吊らす「経済的徴兵制」が始まるのではあるまいか。給付型奨学金制度を創らない意図を洞察しなくてはなるまい。
 
沖縄差別
 安倍首相も菅官房長官も沖縄を差別している。辺野古の基地建設を「沖縄県民の負担軽減だ」と言う。「負担軽減」と言うのなら、そして「米軍基地が日本の防衛に必要」と言うのならば、沖縄県外に (日本の何処かに) 建設すべきである。「オール沖縄の民意」は新基地反対である。「空港・軍港・爆弾庫」の本格基地を沖縄に押し付けるのは「沖縄差別」である。
安倍首相も菅官房長官も沖縄県民を差別しているではないか。「権力者は言説で人々を騙す」「政府は常に嘘を言う」は古今の真実である。

NHKの変貌
現在日本のテレビ・新聞は自粛・自主規制して「報道機関の使命」を果たしていない。世界180の国と地域を対象とする報道の自由度ランキング(2016年)で日本は72位である。(見識と気骨ある報道人が年ごとに少なくなる)
とりわけ、NHKの変貌はすさまじい。籾井勝人会長になってから、政治部が「ニュース原稿」「ナレーション原稿」を(安倍官邸から文句を言われないように)訂正している。番組も「安倍首相を刺激する内容はどんどん削られ」「ディレクターが書いた原案をプロューサーが(安倍路線を刺激しないよう)書き換えている。(小滝一志(放送を語る会事務局長)「マスコミ市民」2015-3月号 )
 
 自治体学土曜講座は受講者それぞれが「自身の思考力」を高める場である。問題提起と討論は「思考の座標軸」を確かなものにするためである。
1995年に開講し16年間開催した「北海道地方自治土曜講座」の内容は http://sky.geocities.jp/utopia2036/doyokoza/
2014年に名称を「北海道自治体学土曜講座」に改めて再開した講座内容は http://jititai.net/hokkaido/?p=527 を参照されたい。
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