■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
追悼・松下圭一先生
(カテゴリー: 追悼
   追悼・松下圭一先生

1 70年前(1945)、日本中が焼野原になり食べる物も無くなり、「二度と戦争はしない」と覚悟して憲法を定めた。その憲法を、安倍普三(自民・公明) が破り棄て「戦争をする国」にしようとしている。
 戦前は、「国家統治」に疑念を抱く者はキビシク禁圧された。そして文部省が「国家統治」を教えこんだ。だから今も、人々は心の奥底に「国家」「統治」「服従」が残っている。  
 憲法は「国民主権の民主主義」になったが「国家が国民を統治する」は変わらなかった。
いつの時代も、権力者は「コトバ」で人々を騙す。そして人々は騙され自分の命さえも奪われる。憲法は民主主義になったが、人々の心に「民主主義」は根付いていない。
 安倍普三の支持率が下落しないのはなぜか。考える力が劣弱になっているからだ。
 大学では今も、「国民主権」を「国家主権」と言い換えて「国家が統治権の主体である」と教えている。毎年、その教育を受けた学生が社会人になっている。

2 40年前(1975)、岩波新書「市民自治の憲法理論」(松下圭一) が刊行された。
 この本には、民主主義は「国家が市民を統治する」ではない。人々(市民=People=Citizen)が社会の主人公である。民主政治の主体は「国家」ではない「市民」である。民主主義は「国家統治」でなく「市民自治」である、と明快に叙述されていた。
 市民自治とは「市民が政府を選出し制御し交代させる」である。選挙は白紙委任ではない。選挙は「信頼委託契約」である。政府が逸脱するときは「信託契約」を解除する。これが国民主権である、と書かれていた。 
 この本が刊行されたとき、憲法学者も政治学者も誰も反論できなかった。「松下シヨック」と言われた。

3 松下圭一は、イギリス市民革命を理論化した「ジョン・ロック」を研究して、東大の学部在学中に、岩波書店から「市民政治理論の形成」を刊行した。
 「市民自治の憲法理論」、「日本の自治・分権」、「政治・行政の考え方」の編集担当であり、後に岩波書店の代表取締役社長を勤めた大塚信一氏は、2014年1月、松下の主要著作を全検証して「松下圭一日本を変える」(354頁)を刊行した。
  筆者は、北海道大学で5年、北海学園大学で10年、松下理論の基本書「政策型思考と政治」(東大出版会) を大学院でテキストにした。 

4 松下先生は、北海道自治土曜講座(1995年から16年間、継続開催)に、講師として6回札幌に来てくださった。北海道には松下理論に馴染んだ多数の市民と自治体職員がいる。
 NHKは、大河ドラマ「花燃ゆ」で吉田松陰の「松下村塾」に脚光を当てた。その意図を問題なしとはしないが、それはさておき、現在日本には「二つの松下村塾」がある。
 一つは松下幸之助の「松下政経塾」である。おびただしい議員の数である。だが、その議員は「国家統治」を信奉し推進する人達である。もう一つは、松下理論の「市民自治」に賛同し自身の「思考の座標軸」を見定める人々である。全国各地に多数の方々がいる。

5 松下圭一先生は、2015年5月6日、85歳で逝去された。
 心からなる追悼は、「松下理論」が多くの方々に伝わることであると思う。
 本年5月から、さっぽろ自由学校「遊」で、講座「民主主義の理論・松下圭一を読む」を開講した。そして、北海道自治体学土曜講座を再開した。 
                            森  啓
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