■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
自治体学会設立のころ
(カテゴリー: 自治体学会の設立経緯
自治体学会設立のころ

設立動機
 設立動機は省庁政策に支配され従属していた状況から脱却するためであった。目指すは自治体の政策自立である。
七十年代の後半「自主研究グループ」が各地に叢生して全国交流集会が1984年5月、東京中野サンプラザで開催された。この「自主研究活動の波」が「政策研究の潮流」へと発展することを目指して、84年10月、横浜港を眼下に眺望する「神奈川県民ホール」で「自治体政策研究交流会議」を開催した。
 そして、その場で「自治体学会の設立動議」の提出を策した。(その詳細は末尾文献に)  

「自身の不利益をも覚悟して前に出る熱気」が七十年代にはあった。
 爾来三十年、自治体理論、政策形成力、市民自治制度は画期的とも言えるほどに進展した。だが現在は「主体鈍磨」と「状況追随思考」が蔓延しているように思える。
 例えば、「政策評価制度」が鳴り物入りで喧伝されると一斉に「制度導入」が始まる。しかし実効性のある制度はどこにもない。外部評価は言葉だけであった。熱気も冷却した。現在は「自治基本条例」の流行である。だが「首長の改選期までに」とか、「議会の反感を買わないための字句修正」である。これが多くの実態である。
 作文して首長が決裁して議会決議すれば、それで「自治基本条例の制定」である。「住民はそっちのけ」である。地域に「最高条例の規範意識」を醸成せんとする工夫はない。その手続きを編み出す情熱も才覚もない。「制度を作れば一歩前進だ」と考える。それでは「死屍累々」ではないか。
「今の自分のまま」「今の行政文化のまま」で「重要なことができる」と考える。それが問題なのだ。

 「かべ」と「覚悟」
 八十年代、「自治体の政策研究」は潮流となって広がった。だが、「財政が右下がり」になって政策研究の潮が退きだした。それならば、「行政内のシクミ」を研究開発すべきである。「政策評価」「パブリックコメント」「オンブズパーソン」「自治基本条例」はそれであるのだが、行政内には根強く統治の思想・手続・慣例・手順が堆積している。その「かべ」を崩さなければ「市民自治の制度」にならない。「今のままで」「自分自身は何も変わらないで」では「制度改革は死屍累々」になる。「意味ある何かを為そう」とすれば必ず「かべ」が出現する。その「かべ」を越えるには「覚悟」が必要である。
 自治体学会設立のときにも「かべ」が現れた。議会多数会派を気遣う県首脳部に呼び出され「目立つことはするなよ」と脅かされた。知事周辺からは「学会設立は知事が中心で」「設立準備会を立ち上げる埼玉会議に出張させない」との声も聞こえてきた。(これらのことも末尾の文献に記した)。

1984年の夏の夕刻、渋谷駅の近くで、松下圭一さん鳴海正泰さんと「自治体学会の可能性」を語りあった。そのとき「設立への覚悟」が定まった。
 自治体学会は二十年を経過した。感慨ぶかい。多くの方々のお力である。
北海道自治体学会と北海道土曜講座は本年で12年目に入る。私は本年四月から法学部二学年を対象に「自治体学」の講義を開始する。
                       (もり けい)

1「自治体の政策形成力(時事通信社) 六章:自治体学会、七章:自治体学」
 (自治体学会設立当時の資料と特集月刊誌は六章の本文に記した)。

2 設立時の「かべ」と「覚悟」は「北海道地方自治土曜講座ブックレット(公人の友社)」№50「自治体職員の政策水準」、№90「協働の思想と体制」、№99「自治体の政策形成力」に記した。

3 日本評論社「経済評論」臨時増刊(1986年9月号)「総集・いま草の根から自治体学の構築を」

4 岩波講座「自治体の構想」第四巻163頁に「自治体学会設立の背景」を記した。


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