■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
岩波『図書』2月号で、二つ思った。
(カテゴリー: 研究ノート・書評
  岩波『図書』2月号で、二つ思った

一つは、
 冒頭の『福翁自伝』とオランダの反応(上)・平川祐弘(比較文学者)を読み、『福翁自伝』が「明治の日本語作品の最高傑作である」とオランダでいち早く紹介されていたことを知った。
 福澤諭吉は「自己の意見を自由闊達に表明する世にも稀な少数者であり、知識の幅はきわめて広く、優れた洞察力と親近感を持たせる文体の持ち主であり、世界の歴史地理の概説、化学や物理の初歩的な原理、天文学、複式簿記、歩兵銃の製作法をも教え、村田銃の発明者として有名な村田将軍が福澤の書物から知識を得た」と叙述されている。迷信を退治した福澤のエピソードも紹介されている。
 ルソーが18世紀のフランスにとって大きな意味を持つ存在であるのと同様に、福澤も日本の近代化にとって大きな意味をもつ存在であると述べる平川氏の所説に共感した。福澤は自国民を開化することを己の使命としたのである。
 「福澤諭吉と丸山真男」(高文研)の著者は、福澤諭吉を「福澤真男」「丸山諭吉」と揶揄し時代情況をヌキにして後知恵で批判した。その著者に岩波『図書二月号』をお読みになることを薦めたいと思った。
 
二つは、
 赤川次郎の「フィクションと現実」(48頁)である。
「時計の針を大きく逆に戻したような総選挙の結果に、ため息つく人は多いだろうが、しかし素人目にも謎の多い選挙だった」として「三つの謎」を赤川さんならではの筆致で描いている。
 第一の謎、「大体、この時期に総選挙になれば民主党の惨敗は目に見えていたのに、突然の野田首相の解散」―「経団連からの『見返り』なしで、こんな真似はしないだろう」―「野田元首相のその後の身の振り方を注目しておくべきだろう」
 第二の謎、「北朝鮮のロケット発射―なぜこの時期に?」―「実は秘かに日本の保守勢力が北朝鮮に依頼した『やらせ』では…」
 最大の謎は、「安倍氏、経団連、電力会社、その誰もが、「3・11」の、あの大地震の凄まじさ、大津波の破壊力、そして爆発した建屋の中すら今も分らないという原発事故の恐怖を経験していながら、これから起こる大地震-間違いなく起こるのだ-で再び原発が大事故を起こすことを『考えようとしない』ことである」と。
 そして、ベルギー在住の友人からのメール「初めのうちこそ日本を被害者として同情してくれていたヨーロッパの人々が、次第に日本を加害者と見るようになっている」を紹介している。

 筆者は毎年1月、札幌市内の高齢者の勉強会(創造学園)で話をしている。本年は、「なぜ民主党は大敗したのか-これから日本はどうなるか」と「映画『東京家族』を観ると涙が流れるのはどうしてか」を話した。赤川さんの文章を話の前に読んでいたなら、もっと面白く話せたのに、と思った。

  岩波『図書』を多くの方々が読まれることを薦めたい。

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