■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
橋下維新の会と自治体学
(カテゴリー: 自治体学講座
   橋下維新の会と自治体学

 2012年9月19日に
 さっぽろ自由学校「遊」の講座「ハシズムと市民自治」で
 以下の論点を言説する。

 1 橋下勢力の増大
 2 なぜ多くの人が橋下を支持したか
 3 橋下の正体
 4 メディアの問題
 5 橋下を支持する人達の問題

1 橋下勢力の増大
・新党(日本維新の会)を旗揚げして政治勢力になろうとしている。
・7人の国会議員が加わって政党の態を整えた-その7人とは
・橋下維新を政治勢力にまで増幅させたのはメデイアである。
・歴史を顧みれば国を危殆に転落させるのは報道である。
・メディアは今、限りなく・歯止めもなく「人々が穏やかに暮らせなくなる方向へと」傾斜を続けている。
・だがこれはメディアだけの責任ではない。吾々の問題である。
・かほどの悲惨な状態が生じる原発を設置した責任者(個人名)を不問にしている。
 それは中国侵略・無謀な真珠湾攻撃で日本中を焼野原にした責任者を不問にしたと同じである。

2 なぜ多くの人が橋下を支持したか
・橋下維新が大阪(知事・市長)選挙で圧勝した。当票率も上昇した-なぜか
・自民から共産までの「反橋下・総連合」は惨敗した-なぜか

なぜ橋下に投票したのか
・極度の政治不信と役所仕事への積年の不信が堆積していて、
・人々は「とにもかくにも現状が変わる」を求めた。
・有権者には、自民から共産までの「反橋下・総連合」は「現状継続の勢力」に見えた。
・橋下が負けてはならないと投票所に行った。つまり「総連合」が投票率を上げたのだ。
・現職応援にやってきた学者は有権者の心に届く話ができなかった。心に響く話ができないのは、学者自身が「現状継続の側」にいるからである。テレビや新聞では「もっともらしい」ことを言うけれども、現在の自分の地位が危うくなることは決して言わない。
・例えば、アメリカ一辺倒のこと、米軍沖縄基地-普天間基地撤去のこと、莫大な防衛費のムダ、原発責任の個人追及などは、黙過あるいは曖昧に言う。曖昧に言うその自分が見えていないから、人の心に響く話ができない。
・かくして、クルクル発言で一貫性がなくとも、過激に攻撃的に「現状否認」を唱える橋下に投票した。橋下に多少の問題があるとしても「橋下なら何かやるかもしれない」と投票所に出かけたのであろう。
・そして、大阪の人々の心の奥には東京への反発・反感もある。

3 橋下の正体
信用できる人物ではない
・橋下は、過激な攻撃発言をしてテレビ・新聞に報道させる術(すべ)に長けているだけである。その術とはメディアの軽薄さとセットの術である。
・橋下弁舌は「前言撤回の繰り返し」と「すり替え比喩の欺瞞論法」である。一貫性の無い言説である。
・府知事選挙のとき「立候補は200%ありません」と見得を切った。知事になったが実績はない。社会的弱者や文化・教育の経費を削減しただけである。
・「私学助成金をカットしないで」と訴える高校生たちに、親が貧乏なのに私学に通っているのは自己責任だと言った。場馴れした声高の弁舌に反論もできず、高校生たちは涙ぐんだ。これが橋下の正体である。橋下に真摯な政治理念はない。社会的弱者への思いやりもない。あるのは過剰な自負心と自己顕示欲とその裏にある卑小な劣等感である。
・大飯原発再稼動で、最初は「電力不足は嘘だ」と反対したが「夏場に限って」と再稼動への流れをつくった。そしてテレビの前で「負けたんですよ」とあっけらかん言い放った。何の説明にもなっていない。これが橋下弁舌の正体である。
・日本維新会の党首に就任した記者会見で「衆院選には出ません」と言明した。メディアはニュースとして報道した。橋下の計算したメディア利用術である。そして今度は「出馬声明」をメディアに報道させるであろう。
・橋下弁舌は「すり替えの欺瞞論法」である。騙されてはならない。
・到底、信用できる人物ではない。

映像作家の橋下評
 映像作家の相田和弘さんが、岩波・世界7月号の「特集・橋下維新―自治なき『改革』の内実」で評している。「威勢はよいが、強権的で、大した実績もなく、違法意識が低く、発言がコロコロ変わり、ビジョンも稚拙である」。なぜ多くの人がこのような人物を支持するのかが理解できない。支持している人々に共通しているのは「語彙も、論理も、文体も」橋下と同じである。まるで九官鳥のように橋下の「言葉、言い方」で発言する。自分の言葉と論理はない。(世界7月号131頁) 世界の特集「橋下維新」を読まれることを薦めたい。

橋下論法
・スジの異なる比喩を使う欺瞞論法である。
 中島岳志(北大)も、橋下論法を「橋下徹の言論テクニックを解剖する」で「ありえない比喩を駆使し前言撤回を繰り返す」と指摘している。橋下論法に騙されてはならない。かかる欺瞞論法を駆使する者が権力を握れば如何なる事態になるかを想像しておかなくてはなるまい。

橋下ブレーン
 橋下ブレーンに名を連ねている方々にお訊ねしたい。
・行政職員の思想調査を行い回答しない職員を不利益処分にした。入れ墨調査を行い回答しなかった職員も不利益処分にした。橋下氏は職員に絶対服従を強いている。
・首長は選挙で代表権限を信託されているが白紙委任ではない。職員は首長の私兵ではない。職員は市民から雇用されているのである。市民との関係では首長も職員も同等である。これが代表民主政治の基本原理である。「選挙で選ばれた自分が民意だ」は欺瞞論法である。
・代表民主政治の基本原理をも弁えない橋下氏のブレーンを続けることについてのご所見を伺いたい。

自治体学会代表委員でもある中川郁郎氏にお訊ねしたい。
・大阪市(文化行政)参与として橋下ブレーンに加わったが、文楽は大阪だけでなく日本社会の公共財である。その文楽への助成金を削減したことをどう考えていられるか、これから如何に行動されるのか、狡猾な世渡り術ではないとは思うが存念を伺いたい。

橋下ブレーンの所業
・橋下ブレーン(堺屋太一、竹中平蔵、上山信一など)の方々が、これまでに果たしてきた「役割と所業」は如何なるものであったのか。評価出来るものではない。
・橋下ブレーンが18人から26人に増殖した。大なる禍根となることを警戒しなければなるまい。それにしても、橋下ブレーンに馳せ参じる「心性」を哀れにも思う。

4 メディアの問題
メディアが橋下弁舌を「たれ流し」で報道した。
・橋下には若者や社会的弱者よりも管理職や高年齢者の支持が高い。(岩波世界7月号106頁)。これらの有権者が望んでいるのは「現状が変わる」である。
人々は国会や地方議会は自分たちの暮らしとかけ離れていると思っている。白紙委任の如く身勝手に行動していると見切っている。
・政治不信が極度に高くどの政党にも投票したくないのである。
・そのとき、威勢の良い橋下弁舌を、テレビと新聞が連日「たれ流し」報道した。たれ流し報道が橋下への投票行動を支えたのだ。

 記者はなぜ連帯しないのか
・記者会見で毎日新聞の女性記者が、学校での君が代斉唱の問題を質問して、橋下市長から論点をスリ換えた糾弾的な恫喝攻撃を執拗に受けた。そのとき他の記者は「やられている」と眺めているだけであった。異常な記者会見の光景であった。(YouTubeでその状況をご覧あれ)
・記者はなぜ連帯して共同戦線をとらなかったのか。「論理をすり替える欺瞞論法の橋下」と「修羅場経験の少ない新聞記者」とでは、互角の論争はできないであろう。しかしながら「執拗で糾弾的で理不尽な論法」には記者は連帯して反論すべきである。

現場記者を信頼しないデスク
・現在の記者会見の光景は異常である。穏やかに質問し説明する場ではない。「ここは論議する場です」と言い放って都合の悪い質問には論理スリ換えた逆質問で反撃する。反撃・恫喝されないようにと細心の気配りで質問する記者会見になっている。(YouTubeをご覧あれ)。橋下論法に太刀打ちできる記者はいないであろう。
・しかしながら、これは記者全体の問題である。勇気ある真のジャーナリスト記者は不在なりや。橋下と対立して情報がとれなくなることをデスクが心配するからであろうか。

5 橋下を支持する人達の問題
・福島では現在もなお放射性物質が大気中に飛散し海中に流出している。それにも拘らず、首相は「原発輸出」のために「終息宣言」をした。原子力村は活気を取り戻し、官僚は自分の利益のために嘘を言い情報を隠匿する。政党は利権を握るための政局争いに熱中する。どうにもならない閉塞感の充満である。
・マスコミが橋下弁舌を連日報道して橋下勢力の増幅に加担した。そこで人々は「橋下なら何かやるかも知れない」と期待して支持し投票するのであろう。危ういことである。
・だが、橋下弁舌に本心から賛同し支持している人もいるであろう。その方々には、貴方の考えは正しくありませんよ、とは言えない。考え方は人それぞれであるのだから。しかし橋下ブレーンの人には言わなくてはならぬ。
・その人達にはこれまでの「役割と所業」があるからだ。「官から民へ」と構造改革を絶叫し「対抗勢力をぶっ壊す」と叫び、アメリカの対日年次要求の目玉であった郵政民営化を「改革の本丸」として推進した「競争原理主義の小泉改革」の主役が、今度は橋下ブレーンに名を連ねている。あるいはまた、巨大土建会社の利益のため国債を発行し国費を乱費して莫大な借財をつくつた小渕内閣の経済閣僚も橋下ブレーンに名を連ねている。橋下新党を信用することは到底できない。
・小渕内閣も小泉改革も庶民の生活とかけ離れた政治であったではないか。そして今度は、怪しげな名称の「維新八策」なる「国家統治の構造改革案」である。思いつきの羅列文書である。橋下弁舌を支持する方々にも考えて頂きたい。判定するべきは「何をやったか」である。府知事と市長の四年半の実績で考えていだきたいと思う。
「閉塞感の打破」を「威勢の良い攻撃発言をする人」に委ねるのは危ういではないか。

それならどこを支持するか
・それでは「誰に投票すればよいのか」である。悩ましい問題である。
 自民も公明も民主も原発電力会社からの支援金を受取っている。どの政党にも投票したくないのであろうが、巨 悪と繋がりのない(少ない)政党または個人ではあるまいか。
 各人が考える問題である。だがそれは橋下維新ではない。

 問合せ 
  さっぽろ自由学校「遊」
  札幌市中央区南1条 西5丁目愛生ビル2階
  電話 011-252-6752 FAX 011-252-6751
  syu@sapporoyu.org
  http://sapporoyu.org/
 

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