■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
夕張再生の自治体学
(カテゴリー: 政策提言
「夕張再生政策研究会」 2009年3月21日・ 北海学園大学7号館

夕張再生の自治体学
 自治体学による夕張再生の方策を提案します。
夕張が財政破綻した直後に報道されたNHKテレビの「財政破綻の夕張」の録画を昨夜見ました。前の後藤市長さんと退職前の幹部の方々が協議している場面です。  
財政再建計画のベテランということで夕張市役所に乗り込んできた道庁の財政に詳しい方が、「353億円の返済は夕張市として無理な話だ、そんなことはできるはずがない」言いきっていました。ところが、夕張市では、353億円を18年間で返済することが再建計画だとされています。
 総務省から来ている方が夕張再生室長をなさっていて、「黄色いハンカチ基金」という全国から集まった1億円を超える寄付金も管理しています。その基金をどう使うかの審査も再生室が事務局で実質的に掌握しています。
 二つ提案します。

1 夕張再生市民室
 再生室の(総務省の)考え方は「353億円を計画通りに返済することが夕張の再生である」です。しかしながら、夕張再生は夕張市民の生活が成り立つことが基本になくてはならない。市民生活が成り立たない返済優先の計画は「夕張再生の計画」ではないのです。 そこで「夕張再生とは如何なることか」を考えなくてはならない。これが第一の問題です。
 夕張再生室の実態は「債務償還管理室」ですから、名称を「夕張市債務償還管理室」に改めて、全国からの寄付金の1億円の管理とその使途を含めた所管は夕張再生を総括して考える「夕張再生市民室」を新設してそこが所管するべきです。
 夕張再生には市民と行政との協働が不可欠です。協働は信頼関係がなくてはならない。ところが、「市民と市議会」、「市民と市役所職員」との間には、長年の経緯による深い溝があります。だが、信頼を基にした協働がなければ夕張再生は不可能です。尊敬とまではいかなくても信頼に基づく連帯関係を創り出さなくてはならない。如何にして連帯を創り出すか。これが第二の問題です。

2 市民行政
 「市民行政」を提案します。
 市民行政とは市民が市役所に入って職員と一緒に夕張再生の仕事をすることです。
行政法学の方は「市民行政」という言葉に違和感をもつでありましょう。行政は行政職員(公務員)が行なうものだの観念に縛られているからです。国家統治学としての行政法学理論に捕らわれているからです。自治体学への転換が必要です。
自治体学は「行政概念」を転換します。
「行政概念を転換する」とは次のようなことです。
国家学の行政法学では「行政とは法の執行である」です。
自治体学では「行政は政策の実行である」です。
 政策とは課題と方策を組み合わせたものですから、政策の実行とは課題を解決することです。そして、夕張再生という未曾有の困難な課題を解決するには「市民と行政職員の協働」が必要です。国家学の行政法理論に縛られてはならないのです。
市民行政とは市民が行政を行うことです。
 「市民が行なう行政」を「そんなの有りか?」と驚くことはないのです。ここが発想の分岐点です。こう考えることが夕張再生の出発になるのです。 
 人間は言葉で論理を組み立てて解決方策を構想します。前例が有るとか無いとかの問題ではないのです。未曾有の困難な事態にある夕張です。市民自治の自治体学理論で事態を解決しなくてはなりません。
 市民行政とは行政執行に市民が関わることです。これまで、参加・参画・協働という言葉が言われました。どれも内容は同じです。
 市民行政を市民参加と言えば分りやすいでしょう。
 市民参加とは市民が政策立案、政策決定、政策執行、政策評価の各過程に関わることです。市民が当事者として実質的に関わることが市民参加です。
 既存の国家統治学の方は「そんなことありえないじゃないか!」と言います。だがしかし、人間の生きている意味は「理想を目指して現実をどう変えていくか」「そのために論理を如何に構築するか」であります。それが生きているという意味です。
 立案と執行に市民が参加する。これが最近よく言われる「市民と行政の協働」です。協働とは自己革新した主体の協力関係を意味する言葉です。主体双方が従来のあり方と考え方を改めることが前提の言葉です。
 夕張市役所に再生市民室を新設する。
 市民が市役所職員と協働して市民生活優先の夕張再生に取り組むのです。

3 市民議会
 もう一つの提案は、「市民議会」を創り出すことです。「市民議会」とは市民の手に議会を取り戻すことです。
 「市民と市議会」の間には深い溝が横たわっています。市民と議会の意志疎通は不信の壁で閉ざされているようです。市民と市議会の相互信頼は絶望的に見えます。
 福島県矢祭町では議員提案で議員報酬を日当制に改めました。町財政の危機を乗り越えるためです。それは矢祭町議員の方々が「わが町への愛情」を抱いているからです。
 財政破綻した夕張の議員の方々は矢祭町議員の行動をどのように見ているのでしょうか。あるいはまた、市議会が「夕張再生の道筋」を市民と話しあう場を設けることがあってよいのではないか。
 夕張市議会にこそ再生計画が必要です。再生計画案は前回 ( 2009年2月15日) の公開研究会で提案をしたので省略します。
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
この記事へのトラックバック