■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
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「状況追随思考と論理的思考力」
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「状況追随思考と論理的思考力」         

論理的思考力

毎年、講義の冒頭で、重要なのは「知識の習得」ではない。「思考力」を身につけることだ。社会人になったとき「流石は北海学園の卒業生だ」と評価されるのは「考える力」が身についているか否かである。

人間は言葉で考える。「言葉・用語・概念」が思考の道具である。「明瞭で多様」な「概念と用語」を「思考の道具箱」に収納し必要に応じて「さっと出てくる」ように整理する。それが重要だと学生に言い続けている。現代社会は「状況追随思考」が蔓延しているからである。 

概念・用語を自在に使いこなすには訓練が必要。期末試験で「答案を書く」のは「専門用語と抽象概念」を使う訓練である。大学のテストは「思考力の訓練」である。思考力の訓練には「論述方式」がよい。そして「試験場」は最高の「思考の訓練場」であるから、私の場合は、終了時間前の答案提出を認めない。時間一杯考えることを求め「論理的思考力」を学生が保有することを目指している。

地方自治入門

入学してきた一年生に新鮮な「思考と論理」の学生生活を体験させたい。講義は一方通行の知識の授与ではない。受動的な知識の習得では実社会での応用力が身につかない。能動的に心の中で対話を行うことが重要である。大学は「知識記憶」の場ではない。 

「憲法変れども中央集権の行政は変わらず」という言葉がある。

だが、地方分権は工業文明国に共通する世界の潮流である。科学技術の発達で生産性の高い便利な世の中になった。けれども、解決困難な公共課題が次々と噴出している。地球の「温暖化と砂漠化」、世界各地での「大雨と旱魃」「熱波と寒波」、異常気象は「海洋温度の上昇」が原因であると言われている。

少子化と高齢化、ダイオキシンと食品添加物、高層建築と眺望権問題、市町村合併と住民投票、代表民主制度と市民自治、過疎地域の活性化問題。

これらの公共課題を自身の問題として考える。考えて見解を述べることのできる学生に成長させる。それが「地方自治入門」の講義。 

自治体学

工業文明が発達して前例のない公共課題が噴出する。「国際社会の場で基準を約定して解決する公共課題」「全国基準で解決する公共課題」「地域で協働して解決する公共課題」の三つに分化した。現代社会は中央省庁の法律と政策だけでは解決できない公共課題が噴出しているのである。

政府も「国際政府」「中央政府」「地方政府」の三層構造に分化した。国の法律には三つの根本的欠陥があることが明白になった。

第一の欠陥は、国の法律は知床半島から沖縄与那国島までを対象にするから全国画一基準である。地域事情を考慮できないから低水準である。 

第二は省庁が権限を競い合うタテワリ行政であるから総合行政にならない。

第三は全国的に問題が顕在化しないと法律・政策にならないから敏速に公共課題に対応できない。国の法律と政策の三大欠陥である。

これまでの学問は「国家を理論枠組」とする国家学であった。だが、政府が三層に分化して「市民自治の自治体学」が必要になってきた。

「国家統治を市民自治に」「中央集権を地方分権に」「行政主導を市民参加に」組替える自治体学である。自治体学の学会を設立して二十年が経過した。 

情報公開条例、市民参加条例、政策評価制度、住民投票条例などの「自治制度」が整備され、最近は「市民自治基本条例」が注目されている。

市民自治基本条例

基本条例を制定するのは「代表制民主制度」を揺るぎないものにするためである。

そこに規定するのは「市民自治の理念」と「自治体運営の原則」である。

● 市民自治の理念

1 市民が選挙で首長と議会を選出して代表権限を信託する。

(信託は白紙委任ではない)

2 市民は信託した代表権限の運営が逸脱しないよう市民活動で制御する。

(住民投票は制御の一つである)

3 市民は代表権限の運営が信頼委託を大きく逸脱したとき信託解除権を発動する。 (解職{リコール}して代表者を再選出する)

● 自治体運営の原則

A 行政運営の原則

1 政策情報の公開と共有、

2 権限ある職位にある者の説明責任

3 財政・財務の公開

4 総合計画策定への参画

5 政策評価制度 

B 議会運営の原則

1 公開性・透明性

2 議会運営への市民参加 - 公聴会、参考人

3 提案者の反問権

4 常任委員会の議案提出権

5 議長の議会召集権

  

C 法令の自主解釈権 

D 住民投票手続

* 最高規範性



学生は「基本条例が必要な理由」を考える。それが「自治体学」の講義である。
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