■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
自治体学の概念
(カテゴリー: 自治体学理論
 自治体学の概念

 自治体学会は一九八六年に「自治体学の創造と研鑚」を目指して設立された。学会の設立時には自治体学を「自治体関連諸学の総称の学」と仮定義した。爾来、二〇年を超える歳月が経過した。
 現在の憲法学、政治学、行政学、行政法学は「国家」を理論前提とする「国家学」である。国家学では現代社会が噴出する環境、資源、医療、福祉、文化などの「前例なき公共課題」に対して、部分的な問題点の指摘はするが全容の解明はできない。
生活の場で自治の問題として解決する「市民自治の視点」が欠落しているからである。
 国家学は「国家」を統治主体と擬制する。自治体学は「市民」を自治主体と考える。
 自治体学は実践の学である。すなわち、歴史の一回性である実践を理論化し、理論が実践体験を普遍認識に至らせるのである。実践を理論化するから規範概念が重要になる。
「規範概念」とは、未来を目的に設定し現在を手段とする「政策型思考の動態的実践概念」である。現状変革の意識が微弱であれば規範概念の理解は困難である。
八〇年代に流布した「行政の文化化」は規範概念である。行政の現状況に対する変革意識が薄弱であれば行政の文化化は意味不明の言葉になる。同様に「市民」も「自治」も「自治体」も規範概念である。市民自治の実践体験が微弱であればその概念認識は漠然である。
 自治体学は「市民と政府の理論」「政策形成理論」「自治制度理論」を包含する学の体系である。しかしながら、自治体学は完結した学の体系ではない。
 自治体学会は規約第二条に「自治体学の創造と地域自治の発展に寄与する」と定めている。すなわち、自治体学は「国家統治」を理論前提としてきた既成の国家学を「市民自治の学」に組み替える生成中の学である。
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土曜講座を顧みて
(カテゴリー: 北海道自治土曜講座
 土曜講座を顧みて

土曜講座は何を目指したか
土曜講座が目指したのは受講者それぞれが「自分の見解」をもつことである。
「自身の思考力」を高めることである。
土曜講座は「知識習得」の場ではない。講師の話を丸ごと受容するのではない。講師の話は「思考の座標軸」を確かなものにするためである。
  
 土曜講座の成果
第一の成果は「受講者がお互いに知り合った」ことである。
 土曜講座の受講者は職場でも地域でも少数者であった。問題意識を有するが故に「何とかしなくては」と思い、発言し行動して評価されず、ときには「切ない思い」もしていたのである。
 その受講者が、満席の会場で熱気を体感し隣席と言葉を交し名乗り合い、問題意識を共有し知己となった。
土曜講座の当初のころは「講師を囲む」交流懇談会を盛んに開催した。全員の「一分スピーチ」を毎回行った。自分と同じ考えの人が「これほど沢山いるのだ」を実感した。
 北海道は地域が広すぎるので、他の地域の人と言葉を交わす機会は少なかった。土曜講座で知り合い語り合って「仲間の輪」が北海道の全域に広がった。何かあれば連絡し合える「親密な仲間の輪」である。活力は地域から生まれる。
「知り合った」ことが土曜講座の第一の成果であろう。

成果の第二は、「話す言葉」「考える用語」が変わったことである。
 「地方公共団体」が「自治体」に変わり、「地方公務員」が「自治体職員」に変わった。これまで使わなかった「自治体政策」「政策自立」「地方政府」「政府信託」などの「用語」で考えるようになった。
 「言葉・用語」は思考の道具である。「言葉が変わる」ことは「思考の座標軸」が変わり、「発想」と「論理」が変わることである。
 「地方公務員」から「自治体職員」への用語変化は「職業意識」「職業倫理観」をも変化させる。「国家統治」から「市民自治」への論理に共感するようになる。「中央が地方の上位」と思っていた(思わせられていた)長い間の思考習慣からの離脱が始まったのである。かくして北海道の各地に「目先の問題」を「未来への時間軸」で考える主体が成熟した。土曜講座第二の成果である。

第三は、116冊のブックレットを刊行したことである。
 講座での感銘は時間の経過と共に薄れる。ブックレットにしたことで感動が甦る。講義を刊行物にするのは手間のかかることであったが、受講しなかった人にも講座内容を伝えることができた。㈱公人の友社から刊行して全国の書店に出回り、自治体関係者の間で北海道土曜講座が話題になった。評価も高まった。
 例えば、講師依頼のときには「やっと私に話が来た」と言って快諾して下さるようになった。大学院のゼミでも教材に使われた。
 116冊のタイトルを総覧すれば「自治体課題の変遷」を知ることができる。