■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
2010-北海道土曜講座(第一日目)の論点 
(カテゴリー: 北海道自治土曜講座
 2010年・北海道土曜講座 (第一日目) の論点 

 主題は「日本社会の可能性」である。
討論の司会を務めながら「考えたこと」を後日のために記しておく。

1 最大の問題は何か
 討論の冒頭、パネリストに「現在日本の最大の問題は何か」と所見を求めた。「日本社会の可能性」を討論する前提としての現状認識である。
 何を最大の問題と考えるかは人それぞれである。「唯一正解」の回答は無い。「唯一正解」は無いのだけれども、聴衆の面前で「最大の問題は何か」と訊ねられると「瞬時に日本社会の全体を見渡し自身の価値軸で」答えなくてはならない。答える人の「常日頃の問題意識」が露わになる。この問いはその人の「水準」「力量」を験すことになる。
 受講料を払い着座している聴衆は「自身も考えながら」「パネリストの発言する表情」をも眺めるのである。
 当日のパネリストの回答はここには記さない。「礼を失する」ことになってはならぬからである。そこで筆者が当日述べた発言を以下に記す。 

2 司会の意見
 現在日本の最大の問題は「国際社会で孤立を深めていること」だと思います。「被占領時代の意識が現在も続いて脱け出せないでいること」です。それは「アメリカとの関係を正常に立て直す」ことです。それをしなければ、近隣アジア諸国との信頼関係も困難だと思います。
 鳩山首相は政権交代直後のオバマ大統領との会談で「沖縄の普天間基地の移転はそちらで考えていただきたい」というべきであったのだ。それが「総選挙による政権交代」の意味である。菅首相も、鳩山内閣が沖縄の基地問題で退陣した直後であるのだから、カナダでオバマ大統領に会ったとき「沖縄の基地は今のままではダメですよ」と明確に述べるべきであったのです、と述べた。

 しかしながら、「アメリカの意向」を最優位に考えるのが「現在のメディア」の大勢である。そこで次の論点は「メディアの現状」であった。 

3 論点―六項目
午後の討論は次の六項目を巡って行われた。
① 日本社会の現状を如何に認識するか
② メディアの現状―報道するべきことを報道しない保守化傾向
③ 主体の問題―「状況追随思考」を脱却し「批判的思考力」を高めるには
④ 政治・政党の問題―当選すればこっちのもの、白紙委任の如き行動
⑤ 学者の問題―肝心なことには黙る-学者の社会的役割は何か
⑥ 沖縄問題をどう考えるか。
 午前の宮本憲一氏の講演はすこぶる好評であった。
 だが午後の討論は論議が噛み合わなかった。

4 メディアの問題
 日本社会の可能性を担う主体が育つには「公正な情報」が「判断材料」として不可欠である。
 岩波「世界」の連載「メディア批評」は「メディアの問題状況」を具体的に指摘し的確に批評している。筆者は定期購読で毎月送達されてくると最初に「メディア批評欄」を読む。そして「そのとおりだ」と同感すること屡である。「世界」は今では唯一のまともな情報誌である。
 例えば、2010年8月号の「メディア批評」の冒頭の書き出しは「6月3日の朝、フリー・ジャーナリストの江川紹子さんがツイッターで呟いた。『今朝の朝刊は全紙が産経と化している』」であった。
 午後の討論が噛み合わなかった理由は、「メディアの現状」に対する認識の相異である。現在のメディアに「問題あり!」とパネリストが言わない(思っていない)ことに驚いた。
 メディアに発言の場を持つ人は「メディア批判」をハッキリ言うのを憚るのであろうか。であればこそ、岩波「世界」を多くの人が読むことを期待したい。

5 沖縄問題
 本土のメディアは、一方で「基地の危険と犯罪」に苦しみ怒る沖縄の人々に同情し、他方では「政府の日米合意」は尊重されるべきだと言う。「一体どちらの考えですか」と投書がなされた。
 評論家学者は「抑止力」という曖昧な言葉を使って「米軍基地」は必要だと言う。メディアも政治家も学者も「アメリカの信頼を損なってはならない」と合唱する。この心底が現在日本の最大の問題であるのだ。
 冷戦後の米軍基地は「アメリカの戦争のため」のものである。そのことをNHK・BS特集「アメリカ海兵隊―変わる沖縄駐留の意味」が証言しているではないか。 
 評論家学者は「死者が出るから辺野古に基地はつくれませんよ」と述べる。この「他人事のような」「訳知り顔した」言い方が実に「ズルガシコイ」のである。自分の考え (代替基地は沖縄に) は言わない。言わないで分別ある態度を装う。即ち「似非学者」である。
 死者が出ないようにするのが「政治」であり、その道筋を構想するのが「識者の見識」ではないか。まるで死者が出るのを待っているかの如き言い方である。今の学者の大半は評論家学者である。まともな学者は少ない。曖昧に意味ありげに言う。だが「沖縄の米軍基地は撤去すべきだ」とは言わない。沖縄はもとより日本の全国が米軍基地を拒否しているではないか。
 そこで、「貴方の意見をハッキリ言いなさい」と「識者諸氏」に言わずばなるまい。

6 岩波「世界」の「定期購読」
 岩波「世界」毎号の特集論文を薦めたい。特に2010年8月号84頁「心に確たる対抗軸を-伊東光晴」を薦めたい。「世界」の毎号の特集論文を読み自身の「思考の座標軸」を確かなものにすることが重要である、と討論の司会をしながら思った。
 書店で入手し難いので刊行後直ちに送達される「定期購読」を薦めたい。そして真喜志好一さんのHP http://www.ryukyu.ne.jp/~maxi/ を開くことも薦めたいと思った。

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