■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
北海道自治体学会ー政策シンポジュウム
(カテゴリー: 自治体学とシンポジュウム
北海道自治体学会―政策シンポの感想   

1 政策シンポジュウム
 2010年5月22日、北海道自治体学会の政策シンポジュウムが札幌市内で開催された。事務局スタッフの周到な準備によって参加者も多く盛会であった。
 午前の研究報告は、職員、議員、研究者による三つの報告で、何れも自治体学会らしい研究事例であり、北海道自治体学会の研究水準を示していた。
 午後は 逢坂誠二氏の講演とパネル討論であった。例年に比し会員外の出席者が多かったのは「総理補佐官の肩書」で登場した逢坂氏の話を期待したからでもあろう。後日のために感想を記しておく。

2 逢坂氏の講演
① 前半の30分は、新聞・テレビで既に報道されている情勢の話で目新しいものはなかった。開口冒頭の「第三の改革」の話もブレア(英国)の所見である。現在日本の情況への逢坂氏自身の所見はなかった。  

② 後半の「地域主権」の話では、他政党の「民主党は国家を転覆するのか」との批判を披露した。「誤解批判」を批判しても民主党の「地域主権」の考え方を説明したことにはならない。立て板に水の話の中身は永田町で耳にした知見の羅列で独自の所見はなかった。
 自治体学会の研究シンポの場であるのだから「地方分権」と「地域主権」の違いを理論的に説明すべきである。

③ 講演の後、会場から「話を聴いているとこれまでの分権の話と変わっていない」との感想的質問が出た。だがその「地域主権への疑念」に回答はなされなかった。おそらく逢坂氏もよく分かっていないのではあるまいか。
 例えば、地域主権改革三法の「義務づけ」の見直し説明で、「保育所の設置基準・入所基準」の見直しに文科省も厚労省も「うんと言ってくれないのです」と語った。その語り口は官僚の壁を打ち破り未来に向かって日本の政治構造を改革せんとする強靭な気概は見られなかった。メリハリの無い話しぶりは自信の無さに見えた。 

④ 「ここまでやるのですか、前政権ではこんな改革はできませんでした」と内閣官房の職員が評価してくれたのですと語った。だが、評価されたというその具体内容は語らなかった。具体内容を語るべき場面であったのだ。逢坂氏が具体内容を語らないのは(語れないのは) なぜであろうか。 
 片山善博氏(前鳥取県知事) が岩波・世界6月号に「地域主権改革の先行き」と題する所見を載せている。曰く、民主党は地方交付税や地方債の歪みを真っ先に正さなければならないのに、そんな見直しはどこにも見当たらない。法案から透けて見えるのは、官僚たちのすさまじい「しのぎ」と目くらましの「お愛想」のみである、と書いている。
 逢坂氏が岩波・世界の「片山所見」を知らないはずはないのである。一般情勢の話に時間を費やすのではなく「片山所見」からこの日の話を始めるのが北海道自治体学会に基調講演者として招かれた逢坂氏の務めというものであろう。

⑤ 総じて、民主党が目指している「地域主権」の方向には賛成である。「しっかりやって貰いたい」とも思う。
 問題は「どこが急所で」「何が壁であるか」が民主党も逢坂氏も分かっていないことにある。つまりそれは、真剣に考えていないのである。腰が座っていないことが問題である。
 地域主権改革は「微調整改革」でなく「真っ先に改革するべきは何か」を考え果断に実行することである。

  逢坂氏の講演と会場質問を聴いて、以上のことを考えた。 (2010-5-22)


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自治体法務検定と自治体学会
(カテゴリー: 自治体法務検定
自治体法務検定と自治体学会  

1 胡散臭い「自治体法務検定」
 2010年4月23日、自治体学会のML(メーリング)に「自治体法務検定」の事業を行う企業の職員から案内が(受検定の勧誘が)流された。これに対し『このような馬鹿な検定はメールで流さないように心がけてください。法務の能力は検定で計るものではありません』との所見が発信された。筆者はこの所見に「同感です」と発信した。「法務検定」なるものが「胡散臭い」と思ったからでもあった。
 自治体学会MLに所見メールが交錯した。「馬鹿な…の言い方を」批判するメールが(検定を擁護する立場から)続いた。筆者は「同感です」と賛成した立場なので、「考え方」を記しおく。

2 よくある会話
 よくあることだが、会話で「…そんな馬鹿なことを」「馬鹿とは何だ、訂正しろ…」
と迫る場面がある。映画「12人の怒れる男」では、少年が「殺してやると言った」のだから犯人だ、の場面もあった。「本筋の論点」をズラして「言葉づかい」を咎めるのは「適切ではない」「フエアでない」と思う。
Yさんは、Tさんに『No.846発言の(馬鹿な)の表現は不適切であったと私は考えますが、いかがでしょうか。』と書かれた。(巧妙に咎めた)。
(多くの人が眺めるMLで)「馬鹿な…」の表現を切り取って、表現が不適切だと指摘されれば、MLという全国に一斉発信されるシクミでは立場が悪くなるものだ。「馬鹿な…」の言葉は(それだけ切り取れば)良い言葉ではないのだから。
Yさんは「咎めていない」と言うだろう、「不適切な表現だ」と言っただけのことですと言うかもしれない。だがYさんのメールはフエアではないと思う。
 対論するべきは以下の論点である。
Tさんのメールの主旨は『…全て法務は実際の現場の上に出てくるものであり、勉強をするのは当たり前ですが、そこからは現場で使えない頭ばかり大きな職員が生まれるのではないかと懸念をしているだけです』である。 論点はこれである。
このTさんの (検定への疑念の) 論点に対して、Yさんはご自分の所見を述べるべきだと思う。
(それをぜひ聴きたいものである) 。

3 自治体法務検定委員会なるものは
委員長  成田頼明( 横浜国立大学名誉教授)
副委員長 松本英昭( 元自治事務次官)
副委員長 鈴木正明( 市町村アカデミー学長)
顧  問 石原信雄( 元内閣官房副長官) である。
この四人の方々は「集権統治の国家学の考え方を進めてきた著名な方々」である。
Yさんは、そこに検定委員として名を連ねていられる。
受検料(税込)は 5,250円である。 
全国で受験者がふえていけば利益は次第に大きくなるであろう。

 自治体学会は(会則にも掲げるように)「中央支配の行政法学理論」を「市民自治の自治体理論」に組み替える研鑽の場である。自治体学の理論認識と体験交流を深める場である。自治体学会はこれらの方々の対極にある考え方である。 
 自治体の政策法務能力は、「有料の検定」ではなく、Tさんの書かれているように、現場の実践理論であるのだから、自治体学会の場でこそ相互研鑽するべきである。
名を連ねている検定講師に、自治の現場の実践論理が分かるであろうか。
 後で述べるように、甚だ疑問である。

「漢字検定」「英会話検定」などは受験者が多く莫大利益を上げているとのこと。
最近は「自治体議員検定」もある?らしい。そして今回は「自治体法務検定」である。
これらの動向に疑念を感じるのは自治体職員の健康な思考力である。
(北海道自治体学会ニュースレター(2010-4月号)に「自治体職員の思考力」を書いた)。 
そもそも、「政策法務の問題意識」と「現場事態の打開論理」は検定で習得できることではない。
 政策法務能力は検定によって高まるものではない。
「時代の言葉」に便乗して利益を当込む企業の企画に、参画する学者の心底は如何なるものであろうか。
 
4  自治の現場を知らない学者
 かつて、政策評価制度の導入が流行し自治の現場を知らない学者が講師に招かれた。
かくして現在、政策評価制度は如何なる状況にあるのか。市民の共感を得て機能している政策評価制度はどれくらい存在するのか。(新自治体学入門にそのことを書いた)
 2005年前後に合併騒動が降って湧いた。日頃、分権自治を述べていた学者は「推進する側の委員」に就いた。全有権者投票を求める署名運動が各地におきた。だが徳島吉野川河口堰の「50%条項」を悪用し投票箱内の「市民自治の意思」を焼却した。そのとき「自治体政策法務学者」から、適切な(一歩前に出た)発言は殆ど無かった。検定委員として列挙されている学者からは皆無であった。「開票せず焼却する」は政策法務理論の緊急課題であったのだ。
(さてここでも「悪用とは何だ」と言うことに論点が移動するのであろうか)

5 Tさんの所見に賛成である。
 自治体法務検定のホームページに並んでいる講師の方々よりも、Tさんの自治体政策法務の考え方がはるかに実際的で有用であると思う。
「有料の法務検定」よりも「T学校にこそ集結」すべきである。
「自治体法務検定」は国家学の行政法学理論の知識研修である。
 自治体法務検定に対する疑念は、近く刊行物に書く心算である。

 北海道自治土曜講座(第16回)は
2010-7月17日 宮本憲一教授「日本社会の可能性 ~自治体の政策力~」、
2010-8月28日 松下圭一教授 「市民の時代 ~国家統治理論から市民自治理論へ~」 を開講する。私は司会の立場であるので、両日の午後の討論で「政策法務の検定制度」をも論じたいと考える。検定委員の方々にはぜひお出かけ頂きご指導を賜りたい。

 以上の所見に対して、検定委員であるYさんから自治体学会のMLで、筆者宛てに数点の応答がなされた。
 その一つは、「Tさんの (検定への疑念の) 論点に対して、Yさんはご自分の所見を述べるべきだと思う。それをぜひ聴きたいものである」 との筆者の所見 に対して、
 ●この点は、簡単に述べることはむずかしいと考えます。検定で政策法務能力がどこまで高まるかものかわかりませんが、少なくとも、何もしないよりはよいと思います。
 何が「政策法務」で、従前の「法務」と何が異なるのか、私にはわかりません。 というものであった。

 他の検定委員の方々は、Tさんの「法務検定への疑念」に、どのように応答するのであろうか。
 おそらく応答できないのではあるまいか。
普天間・米軍基地問題
(カテゴリー: 無防備地域宣言
普天間基地問題

普天間基地問題の情報で、
日本の新聞・テレビが意図的に報道しない事実を知るには、
自民、公明はもとより、民主党も言わない真相を知るには、
 
真喜志好一氏の「沖縄はもう騙されない」のHPを薦めたい。
 http://www.ryukyu.ne.jp/~maxi/

普天間基地代替施設問題 ではない。
普天間基地問題 である。
自治体法務検定
(カテゴリー: 自治体学理論
自治体法務検定
 
1 胡散臭い「自治体法務検定」
 2010年4月23日、自治体学会のML(メーリング)に「自治体法務検定」の事業を行う企業の職員から案内が(受検定の勧誘が)流された。これに対し『このような馬鹿な検定はメールで流さないように心がけてください。法務の能力は検定で計るものではありません』との所見が発信された。筆者はこの所見に「同感です」と発信した。「法務検定」なるものが「胡散臭い」と思ったからでもあった。
 かくして、自治体学会MLに所見メールが交錯した。「馬鹿な…の言い方を」批判するメールが(検定を擁護する立場から)続いた。そして、検定委員である学者会員(Yさん)から「馬鹿な…」を批判するメールが発信された。
これらに対し、当初の発信者(Tさん)は「考え方の行き違いメール」を終わりにするために、「馬鹿な…」の表現を撤回する旨のメールを流した。
 だが、筆者は「同感です」と賛成した立場なので、少しく「考え方」を記しておく。

2 よくある会話
 よくあることだが、会話で「…そんな馬鹿なことを」「馬鹿とは何だ、訂正しろ…」
と迫る場面がある。映画「12人の怒れる男」では、少年が「殺してやると言った」のだから犯人だ、の場面もあった。「本筋の論点」をズラして「言葉づかい」を咎めるのは「適切ではない」「フエアでない」と思う。
 Yさんは、Tさんに『No.846発言の(馬鹿な)の表現は不適切であったと私は考えますが、いかがでしょうか。』と書かれた。(巧妙に咎めた)。
(多くの人が眺めるMLで)「馬鹿な…」の表現を切り取って、表現が不適切だと指摘されれば、MLという全国に一斉発信されるシクミでは立場が悪くなるものだ。「馬鹿な…」の言葉は(それだけ切り取れば)良い言葉ではないのだから。
 Yさんは「咎めていない」と言うだろう、「不適切な表現だ」と言っただけのことですと言うかもしれない。だがYさんのメールはフエアではないと思う。
 対論するべきは以下の論点である。
 Tさんのメールの主旨は『…全て法務は実際の現場の上に出てくるものであり、勉強をするのは当たり前ですが、そこからは現場で使えない頭ばかり大きな職員が生まれるのではないかと懸念をしているだけです』である。 論点はこれである。
 このTさんの (検定への疑念の) 論点に対して、Yさんはご自分の所見を述べるべきだと思う。 (それをぜひ聴きたいものである) 。

3 自治体法務検定委員会なるものは
 委員長  成田頼明( 横浜国立大学名誉教授)
 副委員長 松本英昭( 元自治事務次官)
 副委員長 鈴木正明( 市町村アカデミー学長)
 顧  問 石原信雄( 元内閣官房副長官) である。
 この四人の方々は「集権統治の国家学の考え方を進めてきた著名な方々」である。
Yさんは、そこに検定委員として名を連ねていられる。
受検料(税込)は 5,250円である。 
 全国で受験者がふえていけば利益は次第に大きくなるであろう。

 自治体学会は(会則にも掲げるように)「中央支配の行政法学理論」を「市民自治の自治体理論」に組み替える研鑽の場である。自治体学の理論認識と体験交流を深める場である。自治体学会はこれらの方々の対極にある考え方である。 
 自治体の政策法務能力は、「有料の検定」ではなく、T高橋さんの書かれているように、現場の実践理論であるのだから、自治体学会の場でこそ相互研鑽するべきである。
名を連ねている検定講師に、自治の現場の実践論理が分かるであろうか。後で述べるように、甚だ疑問である。

「漢字検定」「英会話検定」などは受験者が多く莫大利益を上げているとのこと。
最近は「自治体議員検定」もある?らしい。そして今回は「自治体法務検定」である。
これらの動向に疑念を感じるのは自治体職員の健康な思考力である。
(北海道自治体学会ニュースレター(2010-4月号)に「自治体職員の思考力」を書いた)。 
 そもそも、「政策法務の問題意識」と「現場事態の打開論理」は検定で習得できることではない。政策法務能力は検定によって高まるものではない。
「時代の言葉」に便乗して利益を当込む企業の企画に、参画する学者の心底は如何なるものであろうか。
 
4  自治の現場を知らない学者
 かつて、政策評価制度の導入が流行し自治の現場を知らない学者が講師に招かれた。
かくして現在、政策評価制度は如何なる状況にあるのか。市民の共感を得て機能している政策評価制度はどれくらい存在するのか。(新自治体学入門にそのことを書いた)
 2005年前後に合併騒動が降って湧いた。日頃、分権自治を述べていた学者は「推進する側の委員」に就いた。全有権者投票を求める署名運動が各地におきた。だが徳島吉野川河口堰の「50%条項」を悪用し投票箱内の「市民自治の意思」を焼却した。そのとき「自治体政策法務学者」から、適切な(一歩前に出た)発言は殆ど無かった。検定委員として列挙されている学者からは皆無であった。「開票せず焼却する」は政策法務理論の緊急課題であったのだ。
(さてここでも「悪用とは何だ」と言うことに論点が移動するのであろうか)

5 Tさんの所見に賛成
 自治体法務検定のホームページに並んでいる講師の方々よりも、Tさんの自治体政策法務の考え方がはるかに実際的で有用であると思う。
「有料の法務検定」よりも「T学校にこそ集結」すべきである。
「自治体法務検定」は国家学の行政法学理論の知識研修である。
 自治体法務検定への論点は、近く刊行物に書く心算である。

北海道自治土曜講座(第16回)は
 2010-7月17日 宮本憲一教授「日本社会の可能性 ~自治体の政策力~」、
 2010-8月28日 松下圭一教授 「市民の時代 ~国家統治理論から市民自治理論へ~」 を開講する。私は司会の立場であるので、両日の午後の討論で「政策法務の検定制度」をも論じたいと考える。ぜひお出かけ頂きご指導を賜りたい。