■■■  自治体学  ■■■

 既成の学問は「国家」を理論前提とする「国家学」です。
 自治体学は「国家統治を市民自治へ」「中央集権を地方分権へ」「行政支配を市民参加へ」組替える実践理論です。「実践を理論化し理論が実践を普遍化する」市民自治の理論です。
市民自治とは
(カテゴリー: 市民自治の意味
市民自治とは

 市民自治の意味についての質問があったので所見を述べます。

市民自治
「市民自治」とは「市民」が公共社会の主体であり公共社会を管理するために政府をつくるという意味です。
「市民自治」は「自治体学理論の規範概念」です。自治体学理論は「国家を統治主体と擬制する国家学理論」に対して「市民が政府を選出し制御し交代させる自治の主体であるのだ」と主張します。
すなわち、「国家統治の観念」に「市民自治の理念」を対置するのです。
自治体学は「国家」ではなく「市民」から発想して理論構成をします。
「市民自治」は規範概念でありますから、これを理解し納得するには「国家統治の観念」に対する「自身の所見」が不可欠です。それがなければ「市民自治」の概念認識は曖昧漠然になります。
 例えば、「自治とは自己統治のことである」と説明されています。この説明は「自治」が規範概念であることの意味を理解していないのです。「統治」は「統治支配する主体」と「統治支配される被治者」を前提にする観念です。「自治」の説明に「統治」の言葉を使うのは、「自治」を「統治」に対置した意味が「分かっていない」ということです。「現存していない自治」を「未来に向かって現出せん」とする規範概念の意味が理解できていないのです。

 市民自治の理論
市民自治の理論を要綱的に整理すれば次のとおりです。
(1) 市民は公共社会を管理するために政府(首長と議会)を選出して代表権限を信託する。信託は白紙委任ではない。信頼関係を基にした委託契約である。政府の代表権限は信託された範囲内での権限である。
(2) 市民は政府の代表権限の運営を市民活動によって日常的に制御する。
住民投票は政府制御の一方式であって代表民主制度を否認するものではない。住民投票は政府の代表権限を正常な軌道に戻らせる市民の制御活動である。
(3) 市民は政府の代表権限の運営が信頼委託の範囲を著しく逸脱したときには信託解除権を発動する。信託解除権とは解職(リコール)または選挙である。
政府信託理論は「市民自治の政府理論」です。
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夕張再生の自治体学
(カテゴリー: 政策提言
「夕張再生政策研究会」 2009年3月21日・ 北海学園大学7号館

夕張再生の自治体学
 自治体学による夕張再生の方策を提案します。
夕張が財政破綻した直後に報道されたNHKテレビの「財政破綻の夕張」の録画を昨夜見ました。前の後藤市長さんと退職前の幹部の方々が協議している場面です。  
財政再建計画のベテランということで夕張市役所に乗り込んできた道庁の財政に詳しい方が、「353億円の返済は夕張市として無理な話だ、そんなことはできるはずがない」言いきっていました。ところが、夕張市では、353億円を18年間で返済することが再建計画だとされています。
 総務省から来ている方が夕張再生室長をなさっていて、「黄色いハンカチ基金」という全国から集まった1億円を超える寄付金も管理しています。その基金をどう使うかの審査も再生室が事務局で実質的に掌握しています。
 二つ提案します。

1 夕張再生市民室
 再生室の(総務省の)考え方は「353億円を計画通りに返済することが夕張の再生である」です。しかしながら、夕張再生は夕張市民の生活が成り立つことが基本になくてはならない。市民生活が成り立たない返済優先の計画は「夕張再生の計画」ではないのです。 そこで「夕張再生とは如何なることか」を考えなくてはならない。これが第一の問題です。
 夕張再生室の実態は「債務償還管理室」ですから、名称を「夕張市債務償還管理室」に改めて、全国からの寄付金の1億円の管理とその使途を含めた所管は夕張再生を総括して考える「夕張再生市民室」を新設してそこが所管するべきです。
 夕張再生には市民と行政との協働が不可欠です。協働は信頼関係がなくてはならない。ところが、「市民と市議会」、「市民と市役所職員」との間には、長年の経緯による深い溝があります。だが、信頼を基にした協働がなければ夕張再生は不可能です。尊敬とまではいかなくても信頼に基づく連帯関係を創り出さなくてはならない。如何にして連帯を創り出すか。これが第二の問題です。

2 市民行政
 「市民行政」を提案します。
 市民行政とは市民が市役所に入って職員と一緒に夕張再生の仕事をすることです。
行政法学の方は「市民行政」という言葉に違和感をもつでありましょう。行政は行政職員(公務員)が行なうものだの観念に縛られているからです。国家統治学としての行政法学理論に捕らわれているからです。自治体学への転換が必要です。
自治体学は「行政概念」を転換します。
「行政概念を転換する」とは次のようなことです。
国家学の行政法学では「行政とは法の執行である」です。
自治体学では「行政は政策の実行である」です。
 政策とは課題と方策を組み合わせたものですから、政策の実行とは課題を解決することです。そして、夕張再生という未曾有の困難な課題を解決するには「市民と行政職員の協働」が必要です。国家学の行政法理論に縛られてはならないのです。
市民行政とは市民が行政を行うことです。
 「市民が行なう行政」を「そんなの有りか?」と驚くことはないのです。ここが発想の分岐点です。こう考えることが夕張再生の出発になるのです。 
 人間は言葉で論理を組み立てて解決方策を構想します。前例が有るとか無いとかの問題ではないのです。未曾有の困難な事態にある夕張です。市民自治の自治体学理論で事態を解決しなくてはなりません。
 市民行政とは行政執行に市民が関わることです。これまで、参加・参画・協働という言葉が言われました。どれも内容は同じです。
 市民行政を市民参加と言えば分りやすいでしょう。
 市民参加とは市民が政策立案、政策決定、政策執行、政策評価の各過程に関わることです。市民が当事者として実質的に関わることが市民参加です。
 既存の国家統治学の方は「そんなことありえないじゃないか!」と言います。だがしかし、人間の生きている意味は「理想を目指して現実をどう変えていくか」「そのために論理を如何に構築するか」であります。それが生きているという意味です。
 立案と執行に市民が参加する。これが最近よく言われる「市民と行政の協働」です。協働とは自己革新した主体の協力関係を意味する言葉です。主体双方が従来のあり方と考え方を改めることが前提の言葉です。
 夕張市役所に再生市民室を新設する。
 市民が市役所職員と協働して市民生活優先の夕張再生に取り組むのです。

3 市民議会
 もう一つの提案は、「市民議会」を創り出すことです。「市民議会」とは市民の手に議会を取り戻すことです。
 「市民と市議会」の間には深い溝が横たわっています。市民と議会の意志疎通は不信の壁で閉ざされているようです。市民と市議会の相互信頼は絶望的に見えます。
 福島県矢祭町では議員提案で議員報酬を日当制に改めました。町財政の危機を乗り越えるためです。それは矢祭町議員の方々が「わが町への愛情」を抱いているからです。
 財政破綻した夕張の議員の方々は矢祭町議員の行動をどのように見ているのでしょうか。あるいはまた、市議会が「夕張再生の道筋」を市民と話しあう場を設けることがあってよいのではないか。
 夕張市議会にこそ再生計画が必要です。再生計画案は前回 ( 2009年2月15日) の公開研究会で提案をしたので省略します。
地域医療ー北海道自治土曜講座
(カテゴリー: 北海道自治土曜講座
地域医療を考える―北海道自治土曜講座  2009-6-6 

 医師偏在による医師不足が深刻な事態となり、公立病院・診療所の閉鎖が相継ぎ、地域医療は危機的状況にある。救急患者の救急診療が受け入れられずに死亡する事態すら生じている。日本列島は医療崩壊であると報じられている。
 医師の地域偏在・診療科目の偏在は何処に原因があるのか。
 2004年からの新臨床研修制度によって生じたと言われている。医師偏在の主要原因は法制度の不備による自由開業・自由診療にあると指摘されている。
 如何にして地域医療の危機を打開するか。厚労省の法制度是正、道庁の地域医療整備をただ待っているだけでは目前の事態は解決しない。
 住民自身が、役場・市役所任せにしないで考えなくてはならない。
病院・診療所の勤務医は超過密日程で人間的な生活ができないでいる。医師の人権が守れなくて地域医療は成り立たない。開業医と勤務医の連携、地域間連携を考えなくてはならない。
 ・そもそも地域医療とは何であるのか、
 ・地域医療の重要問題は何か。
 ・開業医と勤務医との連携を如何にして可能とするか。
 ・診療所と専門病院との連携を如何にして実現するか。
 ・地域と地域の医療連携を創出する条件は何か。

午 前  実践報告 (問題の所在)
10:00-11:15 地域医療とは何か ― 
高年齢者も安心して暮らせるまち
            村 上 智 彦 (夕張希望の杜理事長)
11:15-12:00 奈井江町の地域連携・医師連携
―医療・保健・福祉のまちづくり― 
            小 澤 敏 博 (奈井江町立病院事務長)
12:00-13:00
午 後  
13:00-13:30 論点提起 田村裕昭(勤医協中央病院院長)
13:30-15:45 討  論
討論者  北 良治(奈井江町長)
             田村裕昭(勤医協中央病院院長)
             永森克志 (夕張医療センター・医師)
             菊澤 敦(北海道庁医師確保推進室長) 
       司会   森 啓(土曜講座実行委員長)
15:45-16:30
        総括討論 
             医師 村上智彦
             行政
             市民