2016・北海道自治体学土曜講座
第一回(5月7日)
沖 縄 問 題 ~沖縄の人々の苦難は他人事ではない~
「沖縄問題」と「福島問題」は現在日本の最大の緊急課題である。警視庁機動隊を常駐させて、軍港をも備えた本格基地の建設を暴力的に強行している実態を、日本の人々はどれくらい知っているか。日本政府が、沖縄の人々に「危険な米軍基地」を押し付け続ける理由は何か。日本の人々は「明治の琉球処分」から「現在の米軍基地」までの、再三再四の「沖縄差別の歴史」をどう考えているのか。本土(ヤマト)のメディアは、NHKを筆頭に沖縄差別に加担しているではないか。「沖縄の米軍基地」と「北海道の北方領土」は共通の問題である。これらを討論する。
宮本憲一 (大阪市立大学名誉教授)
松元 剛 (琉球新報編集局次長兼報道本部長)
徃住嘉文 (北海道ジャーナリスト会議)
森 啓 (土曜講座実行委員)
第二回(6月18日)
私たちはゴミとどう向き合っていくのか
~迷惑施設問題が提起するもの~
ある日突然、あなたの家の近くにゴミの処理施設がつくられるとしたら、あなたは、それをどう受け止め、どう行動するでしょうか。ゴミには一般廃棄物、産業廃棄物、放射性廃棄物があり、その種類により、影響は大きく異なります。今回は、現代社会における最も重要な政策課題の1つであるゴミの処理に関連して、「迷惑施設」としての廃棄物関係施設の設置に着目し、市民と行政の両方の視点から公共政策とは何か・まちづくりとは何かを考える。
押谷 一(酪農学園大学教授)
久世薫嗣(核廃棄物誘致に反対する道北連絡協議会代表)
高橋 悟(日本文化行政研究会会員)
小坂 直人(北海学園大学経済学部教授)
第三回(7月23日)
北海道の持続可能な発展と自治の力
~TPPから北海道を守るために~
「大筋合意」されたとはいえ、TPPは多くの問題点をはらんでおり、北海道に暮らす私たちはそのまま受け入れることは到底できない。しかし、新たなグローバリゼーション強化の波は確実に進行してきており、私たちは持続可能な北海道の地域社会発展のために、守るべきもの守らなければならないものをしっかりと見据え、自治の力で守り発展させていかなければならないのだ。本講では、今私たちはTPPから何を守り、どのような未来を見据えて発展させていかなければならないのか。そして、基礎自治体は何をしていかなければならないのかを議論していきたい。
久田徳二(北海道新聞編集委員・北海道大学客員教授)
菊池一春(訓子府町長)
荒谷明子(メノビレッジ長沼共同代表)
山口敏文(北海道生活協同組合連合会専務理事)
内田和浩(北海学園大学経済学部教授)
第四回(9月3日)
自治体がつくるワーキングプア
~その実態、背景と克服策を考える~
貧困をなくす役割が自治体に期待されているその一方で、自治体そのものが貧困をうみだしている。官製ワーキングプア問題である。自治体に雇われて働く臨時・非常勤職員は、短時間・短期間勤務者を除く総務省の調査でも全国で約60万人にのぼる。彼らの多くは女性で、年収は200万円に満たない。民間労働者ではないからと労働条件決定における労使対等原則は採用されず、一方で、地方公務員法では彼らが長期で基幹的な業務に従事することを前提としていない。法の狭間に落ちた存在である。他方で、自治体は多くの業務を民間事業者に委ねている。財政難や入札制度における競争政策がそこに拍車をかけている。結果、公共事業・委託事業・指定管理者分野などで貧困が生み出されている。しかし、発注者側である当の自治体は、発注後のことに関心は薄い。2013年秋に札幌市議会で否決された公契約条例はそこに歯止めをかけようとするものであった。だが、札幌市で否決された後、道内自治体で、公契約条例の制定を目指す動きは聞かない。こうした問題状況を確認して是正に向けた各地の取り組みに学ぶ。
川村雅則(北海学園大学経済学部教授)
自治労単組関係者2名(※交渉中)
稲葉典昭(帯広市議会議員)
鈴木 一(札幌地域労組副委員長)
第五回(10月22日)
北海道の自治体問題
~首長と議員と職員のホンネ討論~
1995年の地方分権改革は進展したであろうか。後退しているのではないか。自治体首長と行政職員のまちづくり能力は高まっているか。「議会は何をやっているのかが分からない」から、「無関心」と「不信感」が増大して「議会は必要か」の声すらある。議員のなり手がいなくて「選挙しない議会」が増えている。自治体の「議会不信」と「行政不信」が、「国政と政権」を監視する批判思考力を衰退させ、民主主義を衰弱させているのではあるまいか。首長・議員・職員(労組)が(ホンネ)を出し合い、現状打開の道筋を討論する。
高橋正夫(本別町長)
谷 一之(下川町長)
池田達雄(北斗市議長)
田村英樹(京極町議長)
三浦和枝 (自治労北海道本部書記長)
神原 勝 (北海道大学名誉教授)
森 啓 (土曜講座実行委員)
会 場 北海学園大学3号館22番教室
(札幌市豊平区旭町4 丁目1-40)
参加費 全5回前納:5,000円 1回分:1,500円 (学生無料)
問合せ メール jichidoyo2016@yahoo.co.jp
電 話 011-841-1161内線2737(北海学園大学 内田研究室)
第一回(5月7日)
沖 縄 問 題 ~沖縄の人々の苦難は他人事ではない~
「沖縄問題」と「福島問題」は現在日本の最大の緊急課題である。警視庁機動隊を常駐させて、軍港をも備えた本格基地の建設を暴力的に強行している実態を、日本の人々はどれくらい知っているか。日本政府が、沖縄の人々に「危険な米軍基地」を押し付け続ける理由は何か。日本の人々は「明治の琉球処分」から「現在の米軍基地」までの、再三再四の「沖縄差別の歴史」をどう考えているのか。本土(ヤマト)のメディアは、NHKを筆頭に沖縄差別に加担しているではないか。「沖縄の米軍基地」と「北海道の北方領土」は共通の問題である。これらを討論する。
宮本憲一 (大阪市立大学名誉教授)
松元 剛 (琉球新報編集局次長兼報道本部長)
徃住嘉文 (北海道ジャーナリスト会議)
森 啓 (土曜講座実行委員)
第二回(6月18日)
私たちはゴミとどう向き合っていくのか
~迷惑施設問題が提起するもの~
ある日突然、あなたの家の近くにゴミの処理施設がつくられるとしたら、あなたは、それをどう受け止め、どう行動するでしょうか。ゴミには一般廃棄物、産業廃棄物、放射性廃棄物があり、その種類により、影響は大きく異なります。今回は、現代社会における最も重要な政策課題の1つであるゴミの処理に関連して、「迷惑施設」としての廃棄物関係施設の設置に着目し、市民と行政の両方の視点から公共政策とは何か・まちづくりとは何かを考える。
押谷 一(酪農学園大学教授)
久世薫嗣(核廃棄物誘致に反対する道北連絡協議会代表)
高橋 悟(日本文化行政研究会会員)
小坂 直人(北海学園大学経済学部教授)
第三回(7月23日)
北海道の持続可能な発展と自治の力
~TPPから北海道を守るために~
「大筋合意」されたとはいえ、TPPは多くの問題点をはらんでおり、北海道に暮らす私たちはそのまま受け入れることは到底できない。しかし、新たなグローバリゼーション強化の波は確実に進行してきており、私たちは持続可能な北海道の地域社会発展のために、守るべきもの守らなければならないものをしっかりと見据え、自治の力で守り発展させていかなければならないのだ。本講では、今私たちはTPPから何を守り、どのような未来を見据えて発展させていかなければならないのか。そして、基礎自治体は何をしていかなければならないのかを議論していきたい。
久田徳二(北海道新聞編集委員・北海道大学客員教授)
菊池一春(訓子府町長)
荒谷明子(メノビレッジ長沼共同代表)
山口敏文(北海道生活協同組合連合会専務理事)
内田和浩(北海学園大学経済学部教授)
第四回(9月3日)
自治体がつくるワーキングプア
~その実態、背景と克服策を考える~
貧困をなくす役割が自治体に期待されているその一方で、自治体そのものが貧困をうみだしている。官製ワーキングプア問題である。自治体に雇われて働く臨時・非常勤職員は、短時間・短期間勤務者を除く総務省の調査でも全国で約60万人にのぼる。彼らの多くは女性で、年収は200万円に満たない。民間労働者ではないからと労働条件決定における労使対等原則は採用されず、一方で、地方公務員法では彼らが長期で基幹的な業務に従事することを前提としていない。法の狭間に落ちた存在である。他方で、自治体は多くの業務を民間事業者に委ねている。財政難や入札制度における競争政策がそこに拍車をかけている。結果、公共事業・委託事業・指定管理者分野などで貧困が生み出されている。しかし、発注者側である当の自治体は、発注後のことに関心は薄い。2013年秋に札幌市議会で否決された公契約条例はそこに歯止めをかけようとするものであった。だが、札幌市で否決された後、道内自治体で、公契約条例の制定を目指す動きは聞かない。こうした問題状況を確認して是正に向けた各地の取り組みに学ぶ。
川村雅則(北海学園大学経済学部教授)
自治労単組関係者2名(※交渉中)
稲葉典昭(帯広市議会議員)
鈴木 一(札幌地域労組副委員長)
第五回(10月22日)
北海道の自治体問題
~首長と議員と職員のホンネ討論~
1995年の地方分権改革は進展したであろうか。後退しているのではないか。自治体首長と行政職員のまちづくり能力は高まっているか。「議会は何をやっているのかが分からない」から、「無関心」と「不信感」が増大して「議会は必要か」の声すらある。議員のなり手がいなくて「選挙しない議会」が増えている。自治体の「議会不信」と「行政不信」が、「国政と政権」を監視する批判思考力を衰退させ、民主主義を衰弱させているのではあるまいか。首長・議員・職員(労組)が(ホンネ)を出し合い、現状打開の道筋を討論する。
高橋正夫(本別町長)
谷 一之(下川町長)
池田達雄(北斗市議長)
田村英樹(京極町議長)
三浦和枝 (自治労北海道本部書記長)
神原 勝 (北海道大学名誉教授)
森 啓 (土曜講座実行委員)
会 場 北海学園大学3号館22番教室
(札幌市豊平区旭町4 丁目1-40)
参加費 全5回前納:5,000円 1回分:1,500円 (学生無料)
問合せ メール jichidoyo2016@yahoo.co.jp
電 話 011-841-1161内線2737(北海学園大学 内田研究室)
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第二回自治体学講座―土曜講座の新展開
入間市役所会議室(2012-6-29)、三郷市文化会館(2012-6-30)の二か所で開催した。
入間講座は、入間市職員の複数の学習会メンバーが企画したものである。近隣自治体からも職員・議員・研究者が参集して質疑討論を行い盛会であった。
70年代には自主研究グループが全国各地に叢生し、それらの研究活動が自治体学会設立の機運を醸成したのであるが、2012年の現在は、自主研究活動が衰退し「全国自治体学会」も活気と魅力が低下して会員数の減少が続いている。
そのような停滞状況の中で、入間市の学習活動は活気を呈し会員数が増えているのは注目に値する。課長職の清水英弥さんと清水さんの仲間が周到な心配りを継続しているから、若手職員の学習活動が活気を呈しているのである。
三郷講座は、田中富雄(三郷市)の司会で、鳴海正泰(関東学院大学)、横須賀徹(常磐大学)、土山希美枝(龍谷大学)、森 啓(自治体政策研究所)が、自治体学の基礎概念である「自治体」「政府」「市民」の相互関係を如何に認識するかについて「熱い討論」を展開した。
参会者から「かつての自治体学会には今日のような『シゲキと熱気』の討論があった」「今日は来て良かった」との所見が表明された。
第三回「自治体学講座」は7月28日に札幌市内
第四回「自治体学講座」は三重県松阪市内で開催する。
参考までに両日の「レジュメ」を掲載する。
(1) 入間市講座
1「知っている」と「分っている」の違い。
・「いざそのとき」になると、曖昧な言い方になり大勢順応になる。
・自治体学会や労働組合の場で発言するだけの「市民参加」「自治分権」「市民自治」には何の意味もない。
2 実例で考える
・1994年の夏、桶川市の生活保護所帯のルームクーラー撤去が新聞報道された。
厚生省基準では ― 当時は機関委任事務であった。
これをどう考えるか。いたし方がないのか。それとも如何なる論理で対処するか。考えるには「道具」が必要。思考の道具は「概念」「用語」である。具体場面での実践論理の構築が自治体学であるのだ。
・市町村合併のとき殆どの学者は黙っていた。自治労も沈黙した。
住民投票をやれとの署名運動が全国に広がり、徳島・吉野川河口堰のときの「開票せず焼却する」の「50%条項」が援用(悪用)されたときも学者は黙過した。
なぜであるか
・小泉の「官から民へ」の絶叫
このときも学者は有効な反論ができなかった。自治労も有効な反論が出来なかった。 なぜであるか。
・介護保険制度(2004年4月)
福祉で利益を挙げる事業者が参入して人件費切下げが始まった。介護の質が低下する。自治体職員はどう考えたか。自治体学会は如何に対処したか。
・大阪橋下の職員条例にも、政治活動は免職するとの言明にも
自治労も、自治体学会も敏速な対応をしていない。なぜか。
・自治体学会なのに、「自治体学とはどのようなことか」を誰も言わない。議論もしない。国家学と自治体学の違いを知らない会員が多い。なぜであるか。
3「知っている」が「分っている」に至る(スジミチ)は何か
・人は如何にして「真の知」に至るか。
・分るとはどのようなことか
・人間は体験しないことは分らない
4 理論には二つある。
説明理論
実践理論
(2) 三郷講座 ー「問題提起」
市民自治の意味
・選挙の翌日に、市民は陳情・請願の立場に逆転する。
・なぜ、そうなるのか。
議会改革
・議会不要論の声すらある。
・議会を市民の手に取り戻すキメ手。
役所改革
・「統治行政」を「市民行政」に
・「市民行政」とは、市民が行政事務を担うこと
自治体学会
・自治体学会を結成した意味
・自治体学会の運営―現状と課題
・自治体学会の可能性
入間市役所会議室(2012-6-29)、三郷市文化会館(2012-6-30)の二か所で開催した。
入間講座は、入間市職員の複数の学習会メンバーが企画したものである。近隣自治体からも職員・議員・研究者が参集して質疑討論を行い盛会であった。
70年代には自主研究グループが全国各地に叢生し、それらの研究活動が自治体学会設立の機運を醸成したのであるが、2012年の現在は、自主研究活動が衰退し「全国自治体学会」も活気と魅力が低下して会員数の減少が続いている。
そのような停滞状況の中で、入間市の学習活動は活気を呈し会員数が増えているのは注目に値する。課長職の清水英弥さんと清水さんの仲間が周到な心配りを継続しているから、若手職員の学習活動が活気を呈しているのである。
三郷講座は、田中富雄(三郷市)の司会で、鳴海正泰(関東学院大学)、横須賀徹(常磐大学)、土山希美枝(龍谷大学)、森 啓(自治体政策研究所)が、自治体学の基礎概念である「自治体」「政府」「市民」の相互関係を如何に認識するかについて「熱い討論」を展開した。
参会者から「かつての自治体学会には今日のような『シゲキと熱気』の討論があった」「今日は来て良かった」との所見が表明された。
第三回「自治体学講座」は7月28日に札幌市内
第四回「自治体学講座」は三重県松阪市内で開催する。
参考までに両日の「レジュメ」を掲載する。
(1) 入間市講座
1「知っている」と「分っている」の違い。
・「いざそのとき」になると、曖昧な言い方になり大勢順応になる。
・自治体学会や労働組合の場で発言するだけの「市民参加」「自治分権」「市民自治」には何の意味もない。
2 実例で考える
・1994年の夏、桶川市の生活保護所帯のルームクーラー撤去が新聞報道された。
厚生省基準では ― 当時は機関委任事務であった。
これをどう考えるか。いたし方がないのか。それとも如何なる論理で対処するか。考えるには「道具」が必要。思考の道具は「概念」「用語」である。具体場面での実践論理の構築が自治体学であるのだ。
・市町村合併のとき殆どの学者は黙っていた。自治労も沈黙した。
住民投票をやれとの署名運動が全国に広がり、徳島・吉野川河口堰のときの「開票せず焼却する」の「50%条項」が援用(悪用)されたときも学者は黙過した。
なぜであるか
・小泉の「官から民へ」の絶叫
このときも学者は有効な反論ができなかった。自治労も有効な反論が出来なかった。 なぜであるか。
・介護保険制度(2004年4月)
福祉で利益を挙げる事業者が参入して人件費切下げが始まった。介護の質が低下する。自治体職員はどう考えたか。自治体学会は如何に対処したか。
・大阪橋下の職員条例にも、政治活動は免職するとの言明にも
自治労も、自治体学会も敏速な対応をしていない。なぜか。
・自治体学会なのに、「自治体学とはどのようなことか」を誰も言わない。議論もしない。国家学と自治体学の違いを知らない会員が多い。なぜであるか。
3「知っている」が「分っている」に至る(スジミチ)は何か
・人は如何にして「真の知」に至るか。
・分るとはどのようなことか
・人間は体験しないことは分らない
4 理論には二つある。
説明理論
実践理論
(2) 三郷講座 ー「問題提起」
市民自治の意味
・選挙の翌日に、市民は陳情・請願の立場に逆転する。
・なぜ、そうなるのか。
議会改革
・議会不要論の声すらある。
・議会を市民の手に取り戻すキメ手。
役所改革
・「統治行政」を「市民行政」に
・「市民行政」とは、市民が行政事務を担うこと
自治体学会
・自治体学会を結成した意味
・自治体学会の運営―現状と課題
・自治体学会の可能性
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